「栴檀林に雑樹なし」
栴檀とは、芳しい香りを放つ香木のことです。その林には、棘や荊のような雑樹は育たないといわれます。棘も荊もない静かな場所に、栴檀の香りが満ちた、よき修行の場。そこが「栴檀林」なのです。
現代を生きる私たちは、肌を刺す棘や荊に傷つくことは、ほとんどありません。しかし、ふとした人間関係のすれ違い、スマートフォンから絶え間なく流れ込んでくるSNSの言葉や広告の声。そうしたものによって、気づかぬうちに、心の中に小さな棘が刺さり、荊が絡みついていることがあります。穏やかでいたいのに、穏やかでいられない。そんな日が、誰にでもあるのではないでしょうか。
お墓参りに手を合わせるとき、お寺の境内に足を踏み入れるとき、私たちは日々の喧騒から離れ、ほんのひととき、栴檀林に身を置いています。
これから暑い日々がやってきます。
体の涼やかさも大切ですが、心の涼やかさもまた大切な季節です。
大安寺が檀信徒をはじめ、ご縁のある方々にとりまして、日々の暮らしの中の栴檀林となるよう努めてまいります。

